どこかで聞いたことがある…でも一体どんなものなんだろう?と思う言葉がありませんか?
特に民俗芸能ともなると、少し難しい言葉が並びますね。
能や狂言、歌舞伎や人形劇、浄瑠璃などはおぼろげでも概要は浮かんでくるはずです。
では「神楽(かぐら)」とか「田楽(でんがく)」はどうでしょう?
聞いたことはあるけれど、実際にはどんなもの?どういう違いがあるの?と思われる方がいらっしゃるのではないでしょうか?
「神楽」は、いろいろな種類がありますが(先のコラムで簡単に説明しています)、一貫した特色は、人々が集まって、神座を設け、これに神を招き、祈祷によって、神事に集うものの罪や穢れを払い、また魂を強化し、長生を願おうとするものです。
神座(かみくら)は、「神楽」の語源とも言われる言葉で、神の依りつく依代(よりしろ)を指し、また魂の清めには祓(はらい)、水や湯を浴びる禊(みそぎ)によってなされます。
「田楽」もいろいろな種類があり(これも先のコラムで簡単に説明済です)、字のごとく、田に関する様々な段階で行われる神事で行われる舞や踊りなどを指し、田を耕し、種を蒔き、苗を取り、田植えを行い、その後の草取りや、鳥追いから、収穫に至るまでの様々な節目で行われています。
歌と踊りで豊作を祈願する「田楽」には、田遊(たゆう・たあそび)や田舞(たまい)、田打ち、御田植えなど、地方によって様々な名称、形態があるようですが、全般的に、素朴で純粋なものが多いような気がします。
農機具を使って踊ったり、狂言のように演じたり、太鼓を打ち鳴らしたり、調べてみると、「神楽」と呼ばれるものより、ずっと広い範囲に及んでいるような気がしますし、しかも「神楽」と呼ばれる神事の中に五穀豊穣を願うものもあり、「神楽」と「田楽」は、ひとつの神事の中で共に行われているところもあるのです。
「御田植神事」は、田植えの前後、ほとんど全国で行われているようですが、本来は実際に神田に入って行うものだったといいます。
ところが、今では殆どが神社の境内などに神田を想定して、田植えの物真似をして田植えの様を演ずるところが多くなってきています。
神事ではありませんが、娯楽のなかった昔には、「田打ち競技」などもあったようで、三本鍬で早く田を打つ競技に当時の若者たちが競って参加したともいいます。
農耕が生活の中心だった頃は、神事も娯楽も同様に同じ場所で行われていた…それほど民衆に密着したものだったと言えそうですね。
一度には書ききれないほど多岐に渡る「神楽」と「田楽」、時にそれらふたつは同じ場所で行われたりもします。
実際にご覧になる機会があったら、その違いももっとわかるはずですので、是非お近くの神事を覗きに行ってみてください
近辺の「神楽系」には、南信州の霜月祭り、三河の花祭りなど、近辺の「田楽系」には、旧水窪町西浦田楽、旧引佐町寺野のおこない、旧引佐町川名のひよんどり、あるいは袋井法多山の田遊びなどがあります。
(今回の内容の参考文献:「日本の伝統芸能」本田安次著)
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