都市住環境の現実
真壁構造の家 2003年に新しい建築基準法ができた。24時間換気である。これには驚いてしまった。住宅の居室(寝室や居間など)は24時間、換気扇を廻していなければならないというものだ。
私共の設計する住まいは、前述したように、真壁構造で合板を一切使わない訳だから、ホルムアルデヒドを始め化学物質の入り込む余地は少ない。
外壁は、木舞(こまい)を組んだ土壁で塗り、外の建具も木製でない限り、24時間電気を使う強制換気が義務づけられる。何かおかしい。地球温暖化が叫ばれ、省エネが叫ばれる中(一向に実現できないが)、日本で毎年建設される、100万戸近い住宅の各居室に換気扇が付けられ、昼といわず夜中まで廻り続けるということは、ひょうきん(遠州の方言)である。
マンションの1室、鉄筋コンクリート造3DKの和室で、去年誕生した可愛いい赤ちゃんが寝ている。床は、輸入材の米栂(べいつが)で組まれ、その上に下地として12mmのインドネシア産のラワン合板が敷詰められ、ダニなど防虫材(ナフタレン)加工された紙が畳床の中国製防虫ワラ床をすっぽり覆っている。これまた、防虫液が浸透している。
畳表は、一見新しく見せるため緑の化学染料で染められ、ヒートアイランド現象で夜の9時になっても外気は下がらず36度。空調器が運転され、室内の空気をかき廻している。考えただけでもゾーっとする。でも、これが日本の都市住環境の現実である。
この赤ちゃんが、アトピーや喘息を必ず患うとは言い切れないが、せめて美味しい水と空気を子孫に残すことが、いま生きる者の努めではなかろうか。
生態系の中で、人間だけが生き続ければ良いのではなく、全ての生き物と共生する意味を、子供の時から体験しなければ、少子化やCO2削減が数字上達成されても、地球の未来は明るくない。
米松(べいまつ)などが杉より10%安いというだけで、外材や合板そして新建材でできる家は、本当に美しいのだろうか。
ごく最近まで、人は森に向って生きてきた。森は生活の一部であった。林業人よ、もっと自信を持って、文化・生命の源である日本の森の意義を主張してほしい。健全な森がなければ、都市は成立しないことは、歴史が証明しているのだから。










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