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2010年2月22日 (月)

板葺き屋根

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三遠南信はなつかしい風景に出会える。アルプスを背景に板葺き屋根の家が、あっちこっちに見られる。なだらかな山の斜面の畑を前にして、勾配の緩やかな屋根の煙突から煙があがっている。民家はどこまでもやさしく風景におさまる。
 石置きの板葺き屋根というと、素朴でいかにも古びた感じがするが、土地の材を使ったぜいたくな造りなのだ。栗やナラの木の板を何枚も重ねて葺いていく。
30年前に大平に住んでいた大蔵義文さんが板葺き屋根について語ってくれた。「ちょうど裏に大きな栗の木があったもんで、それを伐り出して板にへえでもらってね」。板材を重ねていくとき、釘は使わない。釘を打つと錆びてきてそこから雨漏りがする。
 風に飛ばされないように割り丸太で押さえ、押し木を置いて石を乗せた。押し木は檜が使われた。石が転がらず、雨水も流れるようにするのには、緩やかな勾配でなくてはならない。板葺き屋根は、山に暮らす人々の生活の知恵がはりめぐらされている。
「夜寝ていると、お背戸の木の実がコーンコーンと屋根に落ちる音がしてね」。
「里の秋」の歌は、板葺き屋根だったのだ。
 最近は、屋根材の確保がむずかしく、その姿を消していく運命にあるのが惜しまれる。

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