かまど
かまどは一家の生活の中心であった。その頃の台所は土間だった。かまどは,赤土にわらを刻み込んで,よくこね,上の方に丸みをつけて固めたものだ。ブリキで出来たエントツが出ていた。
両側にお釜や鍋が乗っていて,真ん中に茶釜がかけられていた。
火を燃やす口は,二段になっていて左右に二つあり,上の段では薪を燃やし,下の段で灰を受け止めていた。灰は庭の草花の良い肥料になった。かまどは火を引いた後,冬になるとよく猫が暖を取りに来ていた。
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昭和28年の春,光ちゃんが嫁をとることになった。幼なじみの信ちゃんが駆けつけてきて,「こりゃあ目出度いこったあ。結婚祝にかまどを作ってやらすか」と言う。
数日後,レンガが持ち込まれ作業が始まった。信ちゃんは左官屋だけあってお手の物だ。夕方には,見事なレンガ作りのかまどが出来上がった。ちゃんとロストル(かまどの中の鉄製のすのこ)もついている。焚口で焚くと,火は上の鍋を炙り,次に隣の鍋の底を炙ってエントツに抜けていく。余熱利用型である。なるほどよく出来ている。
「嫁さんがおくどの前で飯炊きをしていると,パチパチよう燃えていて嬉しくなった。一家にとって火がうまく燃えるというのは大事なことだでね。仕事から家に戻ってきて,おくどの煙を見ると,,やっぱりほっとした。我が家で自慢できるのは,おくどぐらいだったからね」と光ちゃんは,当時を思い出しながら話してくれた。








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