玄関土間とそれに続く外部ポーチは平瓦を四半で敷いたが、三和土(たたき)にする場合もある。ここまでは「土」である。
構造とその他の外部仕上げは「木」が主役である。杉の赤味板が相決り(註2)(あいじゃくり)加工、目透かしで横に張られている。縦に突付けて張り桟で抑えたり、横に重ね張りをしたりもする。これらは、全国に点在する民家で見ることができるので皆様も心当たりがあると思う。
今回は色調を整え、防腐のための塗料(柿渋や荏胡麻油・えごま(註3)をベースとしたもの)を塗らず素地のままとした。木は、本来虫を寄せ付けない樹液と他の自然素材や廻りの空気になじむ性質を持っている。外観は桧の4寸柱がそのまま表われて横板とリズムを創り出し白壁と相まって美しい。
玄関の左は車庫で、150年経った欅(けやき)の古材の柱と曲がった欅の梁構成、いぶり出された黒光りした肌が時間の流れを感じさせ、手斧(ちょうな)の跡は人の手の暖かさを味わうことができる。
木の骨格が外にも表わされて初めて屋根瓦の重さを支え、見た目にも安心感を与える。
これを見ると「日本の風土にはやっぱり真壁構造(註4)だ」と確信する次第である。玄関の扉は、青ヒバの引違い框戸(かまちど)であるが、他はさすがに都市ではアルミにその場を譲らざるを得ない。しかし、内側の障子が白く浮き上がり、紙独特のやわらかさを見せてくれる(カーテンは風土に合わない)。
都会でも、針葉樹や広葉樹などさまざまな樹々に囲まれた豊かな森を体験できる住まいが可能である。ちなみに、工費は東京で3.3平方mあたり70~80万円である。かくのごとく、私たちの設計する家は「木」と「土」と「紙」が三位一体となった空間であり、外部だけでなく内部も同じである。
「やっぱり昔ながらの木の家がいい」と感ずる住まい創りを職人さん達と目指している。
註1 すさ 藁(わら)のこと。壁を塗るときに赤土がばらばらにならないよう藁を混ぜ込んだ。
註2 相決り【あいじゃくり】 板と板が接する長辺の部分が互い違いに上下に重なり合うようにして、隙間なく接合する方法。床板や天板を張り合わせるときに使う。これに対し、継ぎ目を凹凸にする「本実継ぎ」がある
註3 荏胡麻【えごま】シソ科の一年草。高さ60~90センチ。全体に白い毛があり、シソに似る。花は白色。種子をしぼって荏(え)の油をとり、またゴマの代用にもする。
註4 真壁【しんかべ】壁の骨組みをつくる伝統的な方法。柱を壁の表面に出して仕上げる。 これに対し「大壁」は、柱の両面を板張りまたは壁塗りにして、柱が外部に現れないようにした壁。
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