木のふたつの命
少し前に、琵琶湖畔に建つ「佐川美術館」に出かけました。
その美術館はまわりに水がたたえられ、あたかも「水に浮かぶ美術館」のようでした。
その他敷地の中に、千家十職の一門である楽家が設計した茶室があります。その茶室もまた水に浮かぶがごとく建っていました。
水の下に作られた地下の道をくぐっていくのですが、頭上の水が光で揺らめいて、その揺らめきが地下にほのかに射す様はえもいわれぬ幻想的なものでした。
途中に設けられた地下の待合室のテーブルは、大きなタガヤサンの木がそのまま天板として使われていました。自然に割れが入っており、それをそのまま無造作に見せていました。
この天板を見たとき、思い出した言葉
「木にはふたつの命がある」…奈良の宮大工の棟梁の西岡氏の言葉です。
「木には地面に根ざしている時の命と、伐採されて建材として役立つ命と、ふたつの命がある」「山のどの斜面にどう育ってきたか、木の素性を見て、大寺院のどの部分に使うのか判断するのが、棟梁の仕事なんだ」
割れ目が入ったタガヤサンの木は、異国のどんな場所でどんな風に育ってきたのでしょう?まさにもうひとつの命を得て、輝く存在となっているこの木を、何故かとても誇らしく思えた時間を過ごせました。







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