早春の森
節分過ぎのころに梅が咲きだし 、やわらかな匂いが漂ってくる。きらきらと光る浜名湖の小径には、マンサク、レンギョウ、蝋梅、ミモザの花に出会う。なぜか早春の花は黄色が多い。黄色は心躍る色ならば、春の使者にふさわしい。
春まだ浅い森は、葉が茂らないので日が射し込む。明るい林床に、カタクリの花が群生していた。そのいっときをひそやかに咲くはかな草。
雛祭りのころ、森の奥深く、春の女神ギフチヨウが姿を見せる。虎の縞模様をつけて、ひらひらとスミレの花に舞う。植生であるカンアオイは、花をつけるまでに10年かかる。種子を遠くへ飛ばすこともなく、根元にひっそりとはじくだけ。遅々として進まぬ勢力範囲は、1万年たっても、わずか1キロしか広がらない。ギフチョウが生命をつなぐのは、奇跡に近い。
佐久間町浦川の森を歩いていた。枯葉と見まごうキタテハが、早春の朝日に向かって翅をいっぱいに広げ,身じろぎもしない。その翅は破れ,鱗粉も取れ,薄汚い枯葉そのものであった。かって、夏の山野を天使のように飛び交っていたあのときからは、想像もつかない無残な姿であった。かって、夏の山野を天使のように飛び交っていたあのときからは、想像もできない無残な姿であった。寒い冬を越すために、チョウのなかまは、卵・幼虫・蛹・成虫のいずれかの方法を取る。キタテハは、成虫で冬を越すのだ。寒い冬を懸命に耐え、春の訪れと共に真っ先に産卵し、子孫を残そうとする懸命な姿がそこにあった。
春の季節のスイッチが押されると、森は乙女がはじらうように、ほんのり薄緑のショールをまとう。山笑う季節となる。








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