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2008年2月17日 (日)

スキーナ川

    File0005_2                      

キーナ川はなんと悠然と流れていることだろう。水量を満々と湛えて湖かと見まごうばかりだ。川に沿って森が切り開かれ,鉄道が敷かれ,町ができた。今でも訪ねる町々に開拓時代の面影を色濃く残していた。町の人たちは森の木を伐り,船と鉄道で輸送した。
 タイガが無限に広がっている。ブリティッシュ・コロンビア州だけで,カナダ全体の木材生産の50%を越えているそうだ。タイガといえども長年の伐採にうち負けて,資源の存続が危うくしている。細い木しか見られないところもあった。
 バスはスキーナ川に沿って走る。森の中へクマがゆっくりと歩いているのが見えた。黒いクマは,草地をうろうろした後,森の茂みの中に姿を消した。程近いところに家が一軒建っていた。クマとどう折り合いを付けながら暮らしているのだろう。
File0015  家の屋根から煙が棚引いていた。煙突の煙は何と人懐かしいのだろう。あの下で夕餉の支度をしているのかしら。暖炉の前で黙って昔を思い出しているのかもしれない。
 森の牧場で馬が草をはんでいた。一頭だけで寂しくないか。馬だけでなく,こんなに深い森の中で暮らす人たちは,なにを思って日を送っているのだろう。
 森は退屈しないと,ヘンリー・D,ソローは『森の生活―ウォーデン』で言っている。訪ねてくる鳥たちや動物たちと話していればいいし,何もすることがなければじっと考えていればいい。森の中では,詩人にもなるし,哲学者にもなる。
 今日のホテルがあるテラスへ着いた。夕方,ホテル近くの村を歩いた。黄色に色づく森の中に家が見え隠れしている。いかにも森の中にお邪魔しているといった感じで。横羽目の家はがっしりとしていて,厳しい冬の中でも暖かそうだ。大きな窓からは中の様子が良く見える。子どもが遊んでいる。室内のインテリアは,シンプルでエレガント。こんな田舎の町なのに,イギリス風のスタイルを守っている。庭の樹に巣箱がかかり,かわいい郵便受けが手紙を待っている。
 すぐそばで中学に通っているという男の子が,スプルースの木を抱えている。「この木は,わが町の楽器会社で作られているピアノに使われている」と言うと,ニコニコして「そう」と答えた。夕闇が迫ってきた。「じゃあ」と別れた。最後の太陽が森をわずかに染めて,森の冷気がすっと入り込んできた。
                   

 

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