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2008年4月 7日 (月)

結婚式

28_2 ボクダン・ボーグの木の教会に入ると、暗くてよく分からない。ろうそくの灯かりにようやくイコンが浮かぶ。 
 イコンはガラスに描いたテンペラ画だ。素朴といおうか、稚拙といおうか、田舎の煤びた梁に貼られた秋葉山の御札を思わせる。それとこれとは違うのと言われそうだが、下手を旨としている節がある。
 キリストがゴルゴダの丘を上った時、汗で布に顔が写し取られたという。それがイコンの起源といわれている。ルーマニア正教ではイコンが御神体である。ちなみにパソコンのアイコンはイコンから来ているそうだ。
 司教さんがお見えになります。あっ、お見えになりました。ちょっと待ってください。今から結婚式を執り行います。えっ、ほんと、さっきまで誰もいなかったのに、と言っている間に、ぞろぞろと参列者がやってきて、厳かに結婚式が始まった。日本の皆さんもどうぞどうぞ。結婚式は大勢の人たちに祝われてこそ、二人の前途は開けるのですから。
 教会の中は、たくさんのろうそくが灯されて、明々と新郎新婦を照らしだした。前へどうぞと、縁もゆかりもないのに、ぼくは前に押し出された。新郎はなんと式服でも民族衣装でもなく、普通のシャツ姿であった。新婦は白いウェディングドレスを身につけていたが、昨日まで野原で羊を追っていたという雰囲気だ。来賓も仲人も日本人もあったものじゃあない。みんな普段のままだ。
 結婚式は心がこもっていればいいのだ。むろん民族衣装に着飾った派手な結婚式もあるわけだか、どのように式を挙げようと本人次第だ。ルーマニアの結婚式は、村中が繰り出して、3日3晩、飲み明かし、踊り明かす。民族的伝承に則って行われるから、小学校で模擬結婚式の授業があり、小さいうちから練習をしている。
 結婚式を中座して、外に出た。雨は小降りになって、山の村をしっとりと包んでいた。

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