ヴェトナムの森
ヴェトナムは海岸線は、南北3000キロにもわたる。樹相も、北から南へ、照葉樹林、熱帯樹林へ遷移していく。
フエ近くの山地には香木がひそかに葉を広げている。ジンチョウゲ科アキラリア属、高さ30m。香木のなかで、樹齢100年を越えた樹は、伽羅といわれた。香気は鼻に迫る。それは木でもなく、空でもなく、煙でもなく、火でもない。まことに神秘的である。神に祈ってから樹を伐らないと天罰が下る。それだけ香木は神聖であった。
香木すべてが伽羅になるのではなく、アステルギルス・ルーパ菌が繁殖した樹に限られる。それは奇跡というほかない。金と等価であったという。
森の中で、どれが香木か見分けられる能力に驚かされる。特殊な才能というほかない。
伐採には皇帝の許可を得た、もし盗めば腕を切り落とされた。
蘭奢待(らんじゃたい)という名香が正倉院にある。10年ほど前に正倉院展で公開されたとき、蘭奢待は大きく削られていた。誰が削ったのだ。信長、秀吉、家康の天下人である。権力これに極まれり。
現在も日本へ香木が16トン輸出される。6億円にものぼる。







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