モロッコ アトラス山脈
アーモンドの花咲く地中海地方とも別れて、モロッコを東西に走るアトラス山脈に入っていく。地中海気候と砂漠気候に分断する大山脈である。
モワヤン・アトラスはそのほんの入り口。登って行くほどに針葉樹の緑なす高原が広がっていた。瀟洒な建物が建ち並ぶイフレンのリゾート地は、かつてフランスの保護下の名残か、ヨーロッパ風でついコーヒータイムを取りたくなる。
一休みして峠越え、レバノン杉の群落が現れてきた。古代、フェニキアの船を建造し、ペルシアの宮殿を構築し、ローマの館を飾ったレバノン杉は、人類の文明を支えてきたといっていい。その由緒ある樹木は、本家レバノンでは絶滅寸前という。それが目の前で山林となって生い茂っているではないか。木に抱きつき、実を拾い、木の香りを嗅ぎ、ひたすら古代の樹に参拝九拝した。樹を崇めたくなるのは、人類の記憶にずっと流れているようだ。 亭々とした木の下では、どうしようもなくアニミズムな気分になる。
ミデルトという小さな町で昼となった。レストランのメニューは鱒のホイル焼き、リンゴのタルト。アトラスの雪解け水を集めて流れる川が近くにある。地図で確かめたらモーローヤと書いてあった。なんか朦朧としてくる。
いよいよ主峰、ハイアトラスに登って行く。もちろんバスで。山路は険しくなり、霧がかかって雪山を隠す。タルガル峠(1907m)を越えると、ズィズ川の峡谷が右のほうに深く落ち込んでいる。







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